専攻は油絵。
いつも、木炭で真っ黒になるか、
油絵の具に塗れて、とてもカラフルになるかしていた。
世の中は、弾ける寸前のバブルだったけど、
なんの関係もなかった。
住まいは、4畳半一間の風呂なしトイレ共用のみどり荘。
取り残されたように、貧乏学生が真剣に人生を語り合った場所だった。
バイト代は良かったのかな。
新聞配達をしていた。
ボーナスをもらって、驚いたことがある。
就職活動も少しした。
印刷会社やデザイン会社。
マッキントッシュというPCが導入され始めた頃、という時代だ。
手描きがメインだ。
会社訪問をした時だ。
「2年間は奴隷だ。仕事よりもパシリだ。」
そう言われた。
汗だくの若い新人社員が両手に買い出しの弁当をたくさん抱えて帰ってきた。
「すみません!牛丼なかったです! すみませんっ!!」
新人の彼は、一人ずつ弁当をデスクに配って回り、お茶をいれ、動き回っていた。
社員らは仕事の手を止めず、当然のような顔をして、人差し指で弁当を置く場所を示すだけだ。
弁当買ってきたのに、ペコペコする理由がわからなかった。
上下関係やら、奴隷制度やら全く気に入らなかった。
バブルは弾けた。
世の中は、浮き足だった気分を残しながらも、不景気に向かって急下降していた。
このまま、会社に就職して、歳取って行くのかな…
あんな風に、汗かきながら、買い出し行って、頭下げながら指差された場所に弁当置いて行くのかな。
どんな風に生きればいいのか、よくわからなかった。
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